苗字

わたしはチーム未完成にてゆりしーという名前で活動しているのですが、ここで一曲、最近のちょっとした悩みをお聞きください。


それは苗字がないということ。

 

チーム未完成として自己紹介をするとき、ほかのメンバーが「シー・イズ・ゆりしー」と紹介してくれる分には一向に構わないのだけど、そもそもからして「ゆりしー」という名前は、人が呼んでくれることで成立しているあだ名であって、15歳のハロプロメンバーとかじゃない妙齢の女性が自ら「コール・ミー・ゆりしー!セイ!」と名乗りあげるのはツラの皮がよほどの極厚じゃないとつらい。

 

とはいえ当然、どんなツラ下げてでも己からゆりしーと名乗らなければいけない場面というのは多々あって、そんなとき「ゆりしーです」の前に「(もともとそういうあだ名だったから特に深い考えもなく、かりそめの名としてゆりしーと定めたらなんだか意外と長くゆりしーと名乗り続けることになってしまっただけで、別に80年代のアイドルよろしく積極的に自分で自分をゆりしーって呼んでほしいとか、ゆりしーっていうあだ名が醸し出してる、ある種のかわいらしい感じに値するとか思って名乗ってるわけじゃなくて、便宜的にここではそう呼んでもらうしかないし、今は他人から紹介してもらう場面でもないので渋々自身で申しあげますが)ゆりしーです」と、心のなかでは長々しいカッコ書きの言いわけをかましたうえで名乗っているので、なんとかそのモノローグをテレパシーで感じとって、どうかわたしをずうずうしい女だと思わないでほしいという気持ちでいっぱいだ。

苗字さえあれば、たとえ下の名前がゆりしー寿限無だとしても「高橋(仮)です」と一発名乗っておけば、自分の自意識を守るためのくどくどしい言いわけを(脳内で)述べることは不要だし、苗字のあるしをりんはもちろん、苗字とか関係ない時限にあるぱいせんやみっちゃんの名前は本当にうらやましい。

 

もちろん、一市民としてわたしにも当然戸籍上の苗字はあって、ごちゃごちゃ言わんとその苗字をくっつけて名乗っておけばよろしいとおっしゃられても当然なんですが、わざわざ視界が狭く息苦しい面なぞかぶって、顔出しせず活動してるのに本名を名乗る不毛さといったらない。

 

そんな揺れる想い、体じゅう感じて。

 

ゆりしー