「小田急線偏愛紀行」の企画で妄想ストーリーを制作しました(ぶ〜〜ん)

みかんせいちゃんです!

 

この夏、体験シェアサービス「TABICA」と小田急電鉄による、だれかの偏愛を通して小田急線沿線を楽しむプロジェクト「小田急線偏愛紀行」の企画として、下北沢ゆかりの“ ホスト”たちが偏愛を通して下北沢の魅力を伝える、4つの体験・ツアーのうちの1つを、私たちが担当させていただきました。

 

 

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 私たちチーム未完成が行ったのは、「妄想×シモキタ」をテーマに、限定1名の体験者をチーム未完成がインタビュー&写真撮影し、その内容を元に体験者を主人公にした、かっこいい“妄想”ストーリーを作る……という、そんなこと言われても何が何だかですよねって感じの謎企画。

 

https://tabica.jp/entry/life/archives/44557

(こちらの記事で体験当日の模様がレポートされています)

 

 

そんな面妖な企画に応募してくださったハートフルなみなさんの中から選考の末、参加いただくことになったのは、群馬県在住の大学生〈ちょむ〉さん。

大学卒業後はタクシー会社にドライバーとして就職予定だという笑顔が素敵な〈ちょむ〉さんの妄想ストーリーを制作させていただきました。

 

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(あらすじ)
トイレットペーパーは近所のドラッグストアでもっとも安いシングルロールのものを買うけれど、タクシー代だけは惜しまないタイプの佐藤貴之54歳は、今日も下北沢からタクシーに乗り込む。

 

今回、本当ならば妄想ストーリーを1つだけ制作する予定だったのですが、妄想がありあまってしまった結果、2つのストーリーができたため、このチーム未完成のブログで、TABICAさんのサイトに載っていないもう1つの妄想ストーリーを公開したいと思います。

 

 

ここまで、この謎の企画を一生懸命説明しようと頑張ってみたんですけど、やっぱりどんだけ説明しても謎が解けずに迷宮入りしてく感じですよね。

5秒くらいで理解できないものはスルーされちゃう昨今なのに、現時点でも謎な上に、開催前のさらに意味不明な状態で参加してくれた〈ちょむ〉さん、そして応募してくれたみなさんは本当に最高でBIG LOVE。

企画を受け入れてくれたTABICAさん、小田急電鉄さんもBIG LOVE。

 

ということで、〈ちょむ〉さんのインタビューを元にした「妄想ストーリー」をどうぞ。

 

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―(今日は、ライターになってはじめてのインタビュー! おしゃれな街での取材だから、お気に入りの黄色と黒のボーダーの Tシャツを着てきたし、頑張ろう)

 

あの、はじめまして、ちょむです!

 

―(あれ、この顔どこかで見たことある気が……)ちょむさんこんにちは! 今日はよろしくお願いします。

 

こちらこそよろしくお願いします。

 

―私はミレニアル世代のさまざまな生き方や暮らし方にフォーカスして、お話を伺っていくインタビューコンテンツを中心にしたWEBメディアでライターをしているんですけども、これから社会へ踏み出していく学生の方にもお話を伺いたいなと思っていて、ちょむさんを紹介していただいたんです。

 

はい。ありがとうございます。

 

―では早速なのですが、最初に写真の撮影からお願いしたいと思います。今日、実はカメラマンが急病で来れなくなってしまって……私が撮影もさせていただきますね。

 

わかりました!

 

 

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―(カシャカシャ)ふう、ありがとうございました。それではここからはインタビューに移りたいと思います。まずはじめに、現在のちょむさんについて教えていただけますか。

 

群馬県高崎市というところに住んでいる大学4年生です。

 

―(群馬……)そうなんですね。ちなみに今日のインタビュー場所に下北沢を希望されたのは?

 

月1くらいでお洋服を買いに来るんです。下北沢駅を出た瞬間の景色が好きなんですよね。なんかわくわくするんです、賑やかだし。

 

―わかる気がします。私も自然豊かな場所で育ったものですから、都会は緊張します。ところでお名前は本名ではなく〈ちょむ〉さんでの掲載をご希望ということですよね?

 

はい。子供の頃からのあだ名なんです。

 

―どういう由来なんですか?

 

下の名前が「こうよう」というんですけど、小学生の頃、同じクラスに「こうへい君」という子がいて。二人ともあだ名が「こうちゃん」になっちゃうから、僕のあだ名を変えようということになったんです。それで友達と図書館であだ名を考えていたときにたまたま『愉快な吉四六さん』という本があったので、そこから「きっちょむ」になって、最終的に「ちょむ」だけ残りました。

 

―(「こうよう」……? もしかして……まさか……)あの、かわいいあだ名ですね、……大学では何の勉強をされているんですか?

 

地域政策学部というところにいます。両親がどちらも公務員なので、昔からずっと公務員になれと言われて育って。地元も群馬なので、とりあえず県内の国公立大学に入ることにしたんです。進学や就職のことで親に迷惑をかけたくなくて。小さい頃からあまり駄々をこねたことがないんですよね。怒ったりもしないですし。末っ子だからですかね?

 

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―あの……もしかして、お兄さんがいたりしますか……?

 

はい、兄がいます。一緒に住んでるんですよ。どうしてですか?

 

―(やっぱり……この子……そんな……)いえ、私も兄がいたものですから、なんとなく……。ところで、ちょむさんは卒業後、タクシー会社にドライバーとして就職されるそうですね。なぜタクシーのドライバーになろうと思われたのですか?

 

大学に入ってから映画館でバイトをしていて。だから映画も好きですし、映画や映像関係の仕事に就くかどうかも少し迷いました。結果的に、そのバイト先で出会った一つ年上の彼女が東京でタクシー会社のドライバーとして就職していたので、僕も同じ会社に入ることにしたんです。

 

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―彼女を追いかけて就職先を決めたということですね。素敵です。……ところで先ほど高崎にお住まいとおっしゃってましたけど……。

 

はい。でも子供の頃は伊勢崎というところに住んでいました。

 

―……伊勢崎! おうちの近くに川はありませんでしたか……?

 

ありました! さっきからどうしてそんなに僕のことがわかるんですか?

 

―いえ……。

 

……?

 

―……。

 

川といえば……その川にアーチ型の橋がかかっていて。子供の頃のある日、その橋の上に、お母さんとお父さんとお兄ちゃんと僕で、立っていたんです。そうしたら、突然左手の中指と薬指の間の部分を蜂に刺されて。ミツバチみたいなしょぼい蜂だったんですけど、めちゃくちゃ痛くて泣いちゃって。お父さんもお母さんも心配して、「こうよう、どうしたの」ってずっと聞いてくるんだけど、なぜか隠してたんです。なんで言わなかったのか、自分でも謎なんですけどね。

 

―……。

 

誰にも話したことがなかったんですけど……どうしてこんな話をしてしまったんでしょう……。

 

―……まさかここであなたに会えるなんて……。

 

えっ。

 

―実は私、あのときあなたを刺した蜂なんです。

 

えっ。

 

―正確にいうと生まれ変わりです。

 

えっ。

 

―あのとき、ミツバチの天敵であるスズメバチに兄が襲われそうになっていたんです。私たちは橋のすぐ近くまで追い詰められていたのですが、あなたたち家族が橋の上にいたことで、スズメバチは警戒して逃げていきました。私たちミツバチはほとんど人を刺すことがないのですが、あのとき興奮しきっていた私は勢い余ってあなたのことを刺してしまいました。ミツバチは人を刺すと死んでしまう生き物です。私も命を落としましたが、こうして人間に生まれ変わりました。やがて前世の記憶を取り戻した私は、いつかあなたに会って、あのとき橋の上にいてくれたお礼を伝え、なんの罪もないあなたを刺してしまったことを謝りたいと思っていたんです。

 

えっ。

 

―本当にごめんなさい。そして、ありがとう。あなたに会うという目的を達成したからには、私は再び蜂に戻らなければなりません。……短い間でしたが、ありがとうございました。さようなら。

 

あの……。

 

―ぶ〜〜ん

 

蜂……。

 

―ぶ〜〜〜ん

 

飛んでっちゃった……。

 

 

******

 

こうして、我々チーム未完成は、偶然知り合った大学生・ちょむさんから、蜂が残していったレコーダーとカメラを預かり、ここに公開することにしたのであった。ぶ〜〜〜ん。

  

※このインタビューは(ほぼ)フィクションです。実在の人物、企業、場所とは、関係ある部分とない部分があります。

  

ちょむ さん(本当の)プロフィール

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群馬県高崎市に住む、古着屋巡りが趣味の大学4年生。
卒業後はタクシードライバーとして就職予定。難読漢字に詳しい。
  

(企画:チーム未完成、文章:ゆりしー、撮影:ぴっかぱいせん)

【チーム未完成の社会科見学 Vol.3】「歌舞伎町ブックセンター」で、愛! wanna be with you..

パン以外のことはほとんど何も知らないチーム未完成が、人様の仕事場に訪れては、あれはなんだこれはなんだと聞いて回り、見学という名の狼藉を働く「チーム未完成の社会科見学」企画。

 

おひさしぶりの今回は、昨年10月に歌舞伎町にオープンした書店「歌舞伎町ブックセンター」さんに、セイ・ハローしてきた様子を、私、ゆりしーがレポートさせていただきます。

 

JR新宿駅東口を巻き舌気味に出て、歌舞伎町一番街を抜け、ロボットレストランを横目で見つつ、「白川郷」という趣き深いラブホテル名を味わったりしながら歩いていくと、「歌舞伎町ブックセンター」さんがばばーんと登場。

賑やかな歌舞伎町の中でもぐっと人目を引くTABOO1さんのグラフィティが目印です。

 

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f:id:mikanseisei:20180628113854j:plain「歌舞伎町ブックセンター」さんのエントランス。入口があまりにも開放的なので、ついつい私たちも開放的に。

 

今回お話を聞かせていただいたのは、「歌舞伎町ブックセンター」に置かれている書籍の選書を務める柳下恭平さん(あだ名付けがちな未完成は、やなしーさんと呼んでます)。

f:id:mikanseisei:20180628114301j:plain写真中央がやなしーさん。

 

めちゃラブリーにポーズを決めていただいたやなしーさんの両脇を固めているお二方は、現役のホストさん。

そもそも「歌舞伎町ブックセンター」は、歌舞伎町で数店舗のホストクラブを運営するSmappa!Group代表の手塚マキさんの発案から始まり、プロデュースに東京ピストルの草彅洋平さん、選書にやなしーさんが加わって、書店としてオープンしました。

手塚さんは、自身が経営するホストクラブのホストさんたちに、ホストを辞めたあとの人生も見据えてキャリアデザインを描いてもらううえで、その一助として本を読んでもらえたらという思いから、このお店を始めたのだそう。 

取材当日にいらしたお二方もSmappa!Groupの店舗で働いており、ホストの皆さんも常駐ではないのものの、ときに「書店員」として接客を行い、自身の出勤前後にお客さんとして訪れることもあるということなのです。

 

f:id:mikanseisei:20180713215723j:plainさすがのポージングなお二人。

 

f:id:mikanseisei:20180628114013j:plain飲食もできます。

 

f:id:mikanseisei:20180628114158j:plainトイレ入口がフォトジェニック!

 

f:id:mikanseisei:20180711163306j:plain我々もお隣失礼してきました。

 

 

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やなしーさんとチーム未完成の出会いは、去年大阪で開催された「KITAKAGAYA FLEA」。

颯爽と会場に現れるなり、シャンパンのボトルを開けて出展者に振る舞いまくり、軽快なステップで、ときには床に転がりながら写真を撮る、自由奔放な姿が眩しかったやなしーさん。

 

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出会った日のやなしーさん。 

 

そのときには不勉強ながらやなしーさんの正体も知らず、全身から溢れ出る、パズーの親方的などんと来いバイブスだけをビシバシ感じていたのですが、やなしーさんは、書籍の校正・校閲を行う「鴎来堂(おうらいどう)」の代表で、神楽坂の書店「かもめブックス」オーナーであり、バイブスのみならず本当に親方だったのでした。

 

そんな、親方・やなしーさんが選書を担当する「歌舞伎町ブックセンター」に置かれている本は、すべて「LOVE」をテーマにセレクトされているのだそう。

ピンク、赤、黒の3色の帯がそれぞれの書籍に巻かれているのは、その色がイメージさせる「LOVE」の内容によって本が分けられているから。ひとつの色をとっても多様なイメージがあるため、ピンクは「官能的、もしくは淡い恋」、赤は「明るい愛、もしくは家族愛」、黒は「闇の愛、どす黒い愛」と、一見相反するイメージも包括されています。

もちろん「解釈は違っていい」とやなしーさんも話す通り、本の読み方は人それぞれなので、ひとつの本を巡って、「これは赤い愛では?」「いやいや、赤でもあり黒でもあるのでは」みたいなやりとりを飲みながらダラダラやったら、それぞれのパーソナルな「愛観」に踏み込んでいって、恐ろし楽しそう 。 

 

f:id:mikanseisei:20180628114048j:plainピンクの愛。 

f:id:mikanseisei:20180628114103j:plain赤い愛。 

f:id:mikanseisei:20180628114118j:plain黒い愛。 

 

そして、書棚を見渡すと、推理小説や魚河岸の写真集、自己啓発本など、必ずしもいわゆる「恋愛」を描いた本ばかりじゃないのもおもしろいところです。

 

「全部で400冊くらいあるから、バラエティがあった方がいいという理由もあるし、ひとつの本でもいろんな読み方ができるからね。だから一見、『LOVE』には結びつかないような時代小説でも、ワンシーンだけ素敵な恋愛が描かれていたら選んでいたりします。愛っていろんなものに含まれるので、結構なんでも選べるんですよね。でもこうやって本棚に並べてみると、なんだか説得力があるかも」

 

f:id:mikanseisei:20180711163413j:plain「歌舞伎町ブックセンター」では、「通常の書店と違って、話しかける接客を試してみたかった」とやなしーさんが話す通り、 赤エプロンの書店員さんは好みを聞きながら積極的におすすめしてくれます

 

ところでやなしーさん、選書のテーマが「LOVE」になった理由は? 

 

「僕がジョインする前から『LOVE』というテーマは手塚さんが考えていて。これは手塚さんの言葉だけど、歌舞伎町は『愛の迷宮』なんです。女の子が愛を探して、ホストクラブでお金を使う。そしてホストの人は稼いだお金をキャバクラで使い、そのお金はどこまで行っても回っていく。みんなが愛を探してるけど、実は誰も愛を見つけられていなくて、勝者がいない。そういう思いから愛をテーマにしようと思ったのかもしれないね」

 

本当かは知りませんが、歌舞伎町で稼がれたお金の多くは、歌舞伎町で使われるのだと、どこかで読んだことがあります。お金を媒介して、愛がぐるぐる巡って、その愛は行き場がない。

実は自身も、ボーイとして入ったホストクラブで、ある日背広を渡されて(!)ホストになったという経験を持つやなしーさん。行き場のない愛にお金を払っているのだとしたら、ホストクラブに通う女性がそこに求めているものとはなんなのでしょうか。

 

「ファンタジーなんですよ。ホストクラブでは基本的に、目の前にある情報だけで会話をするんです。だから、『彼氏いるの?』とか『どこ住んでるの?』とか、扉の外のことは話さない。そうやって現実を忘れるんだよね。人によっては、やり方が違うかもしれないけど。キャバクラとホストクラブって似ているようで構造が違っていて、キャバクラは純粋に男性の性欲で成り立っているけど、ホストクラブはそうじゃないんです」

  

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だいぶ話が逸れますが、私は飲食店などの「常連」になるのがたいへん苦手で、いつ行っても安定して他人扱いしてくれるチェーン店以外では転々と行く店を変え、あやうく常連になりそうな気配を感じたら、すかさず通う店を変えるという行動を繰り返してきた人間なのですが、それは普段の自分の役割を置き去りにしたくて足を運んだお店で、また新たに「常連」という役割を引き受けなければならない息苦しさを感じてしまうから。ホストクラブに通い詰めることは、常連から逃げることとは一見逆の行為のようですが、自分が背負っている役割から逃げたい瞬間は誰しもあるもので、そんな物語を扉の中だけで共有してくれるのがホストクラブなのかもしれません。

 

と、ついつい脇道に逸れて、愛の迷宮について考え始めて迷子になりそうになったところで、最後に「歌舞伎町ブックセンター」に置かれている本から、チーム未完成におすすめしたい1冊を、特別にやなしーさんが選んでくれました。

 

f:id:mikanseisei:20180628114340j:plain決断の早いやなしーさん。

f:id:mikanseisei:20180628114429j:plainじゃーん。

 

やなしーさんが選んでくれた本は、萩尾望都さんの『ローマへの道』。

 

萩尾望都さんは大家ですけど、この作品はあんまりメジャーじゃないですよね。萩尾望都さんがバレエダンサーについて書き始めた連作の初期作品なんです。『愛』という名前の主人公のバレエダンサーが、愛を学び損ねて生きていくんだけど、ラストのラストで愛を知るシーンがある。なんとなくこの4人が楽しんでくれそうだなって」

 

なんと、おすすめされる前からこの本を買って帰ろうと思っていたという、げっちゃん。

やなしーさんはとてもジェントルでハッピーな人なのですが、いつも瞳の奥で線香花火のように洞察力の火花が散っていて、その鋭さで欲しそうな本を見抜かれていたのかもしれません。やなしーさん、恐ろしい人……。

 

f:id:mikanseisei:20180710141812j:plain購入した書籍はオリジナルのブックカバーに包んでくれます。マリリン・モンロージョン・F・ケネディに送ったラブレターの言葉が。

 

ということで、今回もお付き合いいただいた、やなしーさん、「歌舞伎町ブックセンター」のみなさま、ありがとうございました!

 

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◆「歌舞伎町ブックセンター」さんの最新情報はこちらから!

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取材の後にやなしーさんがInstagramでありがたいポストをしてくださいました……!

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 (テキスト:ゆりしー、写真:ぴっかぱいせん・しをりん、Special Thanks:柳下恭平さま、「歌舞伎町ブックセンター」さま)

【チーム未完成の社会科見学】ヒット連発出版社の裏側をのぞきたい

秋はいつも新型iPhoneの発表くらい急に訪れる。

めっきり涼しくなりましたね。

 

そんなこんなで今回は「チーム未完成の社会科見学」企画の第2弾。

九段下の出版社、朝日出版社さんにお邪魔しました。

f:id:mikanseisei:20170923195922j:plainお晩です。しをりは顔がどっか行ったので、ミツコッコーの顔を拝借している。

 

案内してくれたのは、編集者の綾女欣伸(あやめよしのぶ)さん。

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グルーヴィジョンズさんの装丁でおなじみのアイデアインクシリーズや、TED ブックスシリーズ、武田砂鉄さんの『紋切型社会』、Chim↑Pomさんの『エリイはいつも気持ち悪い』など多数のヒット本の編集に携わり、最近は内沼晋太郎さんと韓国の書店・出版事情を取材した共著『本の未来を探す旅 ソウル』を出版したDSH(どうかしてる・凄腕・編集者)。

 

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イデアインクシリーズ(朝日出版社さんのWEBより)。一度は本屋さんで見たことがあるはず。

 

ひょんなことからお知り合いになり、綾女さんが自主的に制作した写真集『Tokyo Halloween』にぴっかぱいせんがカメラマンとして参加したり、壁とメニューがコッパーブラウンに染まった居酒屋で、チーム未完成が綾女さんを囲む会を催したりといった関係が続いていて、私たちはパンのZINEシリーズを超DIYで作っているものの、いわゆる「本」を作っている出版の現場については何も知らないので、蟻を踏み潰しちゃう小学生のような素朴な好奇心を携えて、今回乗り込ませてもらったような次第です。

 

1962年に創立された朝日出版社は、綾女さんが作っているような一般書はもちろん、語学関係、教科書などなどの書籍を多数出版。

そして、1991年に発売された宮沢りえさんのヌード写真集『Santa Fe』の出版元でもあり。

当時あまりにヒットしたため、社屋の半分くらいは『Santa Fe』刊行後に増築されたそう。アフター・サンタフェ(A.S.)の方が心なしか新しげ……?

f:id:mikanseisei:20170925132802j:plainサンタフェ前(左半身)、サンタフェ後(右半身)。

 

さっそく最初に案内していただいたのは、在庫が置かれている倉庫。

いきなりのバックヤード!

朝日出版社の書籍は、基本的に成田市にある倉庫で在庫管理しているそうですが、急な発注などに対応する分だけ本社に置いているそう。

f:id:mikanseisei:20170923200831j:plain薄暗くて落ち着くともいえる。

 

f:id:mikanseisei:20170927231118j:plainナイスDIY。矢印に制作者の遊び心を感じる。

 

f:id:mikanseisei:20170923200800j:plain書籍に紐をかけるマシーン、結束機。「YAMADA's TOM」のロゴマーク入り。山田のトムとは。

 

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倉庫の扉をがらりと開けると、すぐ裏にトラックがつけられるようになっていて、スムーズに搬入出ができるソリューション的な。

暗いから写ってませんが、すぐ表が川で、氾濫したりしたら在庫がかなり危機一髪な気がします。

 

続いて、綾女さんが所属している第五編集部へ。

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出版社だけに、お部屋には資料用の本がぎっしり&さすがのナイスセレクションな本ばかりで、DTP作業用のくそでかいMacも置いてあったり、うらやましいが詰まったお部屋。

厳密には複数人でシェアしているお部屋なのですが、こじんまりした個室感と、適度に乱雑な感じはオフィスというより、大学の研究室っぽさもあり。

f:id:mikanseisei:20170923201855j:plain綾女さんワークス(主に左下)が収められた書棚。

 

f:id:mikanseisei:20171003192716j:plain仕事用だけど、取材当日はYouTubeを見るために大活躍していたMac

 

社内にはこんな感じで編集部が第一から第五まであり、第五編集部にはアルバイトの方を含め3名が所属していて、綾女さんがこの部屋の長的な立場だそうですが、基本的には編集部員各自が作りたい本を作るとのこと。

あんなにユニークな本をたくさん出しているのに、思いのほか少人数で作っていることにびっくり。

 

f:id:mikanseisei:20170927230855j:plain校正刷りを切ったりするための大事なお仕事用具(カッターマット)を完全に下敷きに。

 

あまりに快適な部屋に、すっかり社会科見学しにきたことを忘れて、しばし、ソウルへ訪れたばかりの綾女さんから韓国音楽事情について教えていただいたり、土産物交換(マッドなパンダのポストカード from 四川、なが餅 from 名古屋、二十世紀梨 from 鳥取、常温で放置されて発酵でパンパンに膨らんだキムチ from 韓国他)などにふけっていると、他の編集部の方が。

 

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「チーム未完成です」とご挨拶したところ「え、なにそれ…日本語ですか?ちょっと理解が??」とだいぶ混乱のご様子で、ほんとすみませんでした。

 

f:id:mikanseisei:20170923234024j:plain混乱してるけどポーズは決めてくれる。

 

第五編集部を出まして、こちらは書庫。 

過去に朝日出版社から発売された本や、参考資料となる他社の本まで、たっぷり納められてます。

きっと今や書店で買えない本もたくさんありそう。

f:id:mikanseisei:20171002114511j:plain先人の知恵がさらなる知恵を産むんだなあ。みつを。

 

f:id:mikanseisei:20170924000204j:plain綾女さんが入社当時(約10年前)に書庫を整理したときのふせんが現役でした。

 

最後にお邪魔したのは、営業部。

f:id:mikanseisei:20171011173741j:plain昭和的ハードボイルド感。

 

突然の闖入者にも親切な営業部の橋本さんによると、営業部は書籍を円滑に流通させるためのA to Zが主な仕事だそう。

だいぶざっくりなまとめでごめんなさい。

f:id:mikanseisei:20170923235838j:plain「先日の高松出張の際に、移動時間を短縮しようと思って、書店から書店へ走って営業したので日焼けしました」と語る、若干こんがりめの橋本さん。大量のトートバックコレクションを持っていて、営業先に合わせてその書店オリジナルのトートバックに変えていく、営業の鑑。

 

f:id:mikanseisei:20170925125331j:plain橋本さんのおすすめ本コーナー。斜めの陳列にこだわりを感じる。最近おすすめの書店は、そごう千葉店内にオープンした「16の小さな専門書店」、おすすめの本は石戸諭さんの『リスクと生きる、死者と生きる』(亜紀書房)、柴崎友香さんの『よそ見津々』(日本経済新聞出版社)とのこと。

 

f:id:mikanseisei:20171011173347j:plain書庫のふせんに続き、物を大切にする社風を垣間見る。

 

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 優しい橋本さんは「朝日出版社の本が好き」と言ったゆりしーとミツコッコーに、なんとおすすめの本(他社)までプレゼントしてくれました。読みます!

 

 

本作りは餅つきじゃないので、ライブで書籍制作のいろはを順を追って見ていくことは当然のごとく叶いませんでしたが、一通り社内を見学させていただいて思ったことは、

朝日出版社の皆さんは本当にまじで本が好き。

本を読む時って基本無言だし、音楽みたいに同じ場で共有していっせいにブチ上がる的なことはしづらいのですが、他社の本まで熱心に勧めてくれる橋本さんみたいな人に出会うと、そこにある熱量は変わらないことを改めて感じたし、最近発売されたばかりの他社の本もがんがん社内に並んでいて、きっとこの調子でいくと、みなさんお家の中も同じ様子だと推察されるのですが、そんな風に能動的に本を愛でる気持ちが、気持ちの良い本を生み出すことに繋がっているのだなとひしひしと感じたりしました。

蟻を踏み潰しちゃう好奇心を殺さないことが大事!

規模は全然違いますが、世界の楽しさの総量を増やすことに勤しむ者として、チーム未完成もより一層精進したいなと思った次第です。

 

綾女さんをはじめ、朝日出版社の皆様、お忙しいところありがとうございました!

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そして最後にお知らせです。

 

綾女さんの自主プロジェクト『Tokyo Halloween』とともに、チーム未完成は12月2、3日に、韓国ソウルのBuk Seoul Museum of Artで開催される「Unlimited Edition 9」(ソウルアートブックフェア 2017)に出展します!!!

 

 

ソウルアートブックフェア には、毎年ZINEだけお預けして出していたものの、私たちが実際に海外のブックフェアに参加するのは初。めちゃくちゃ楽しみです。

その辺りでソウルにいる予定があったりする皆さんは、ぜひ観光がてら遊びに来てみては〜。

 

「Unlimited Edition 9」(ソウルアートブックフェア 2017)

http://unlimited-edition.org/

 

 

 그럼 안녕(さようなら)!

 

(テキスト:ゆりしー、写真:ぴっかぱいせん・しをりん、Special Thanks:朝日出版社さま)

*

朝日出版社から刊行されている綾女さんの最新作はこちら。

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綾女さんの自主プロジェクト。2015年、渋谷のハロウィンの狂乱をとらえた『Tokyo Halloween』はこちら。ぴっかぱいせんもカメラマンとして参加!

 

 

*チーム未完成を社会科見学させてやってもよろしいという奇特な会社の方がいたらご連絡ください。

mikanseimikansei@gmail.com

 

 

瞑想にうってつけのルミネ

隙あらばインターネットか本、映画、音楽、ラジオと、趣味に値するものがなんらかの情報を受け取る類のものであるうえ、曲がりなりにも大都会・東京に住んでいると、年がら年中、目も耳も騒がしく、神奈川の山育ちの血が騒ぐのか、ときにはすべてから離れて静けさに耽ってみたい気分になるときがあって、そんなときにふと「たまには早起きして出社前に都心のお寺で座禅体験」とか「バリ島のヨガで瞑想」みたいなタイトルの記事なんかにぶち当たってしまうと、つい心がぐらんぐらんになってしまう。

 

静けさを味わうだけでなく、竹林に蟄居する寺で座禅を組んだり、バリ島に住まうヨガマスターの導きのもと鷹のポーズを一発キメたら、普段暇さえあればひたすら家であざらしのように横たわってiPhoneをいじくり回しているだけだとしても、その一回の体験でしばらくはいつものだらしなさまでチャラになり、毎朝真っ白な雑巾で窓枠のサッシの隅々まで拭き清めて回るような人になれるんじゃないかという錯覚に陥りそうになる。

 

けれど、あたりまえのことながら、座禅やヨガは魔術やレッドブルではないので、一回キメたところでどうこうなるようなものではないし、ふと初台のICCの無響室や、がら空きの観光地の洞穴を1人で歩いたときのことを思い出してみると、日常で本当に音のない場所にいることなどまずないから、静かすぎる場所は静けさが目一杯すぎて、かえってやかましかった。

 

今のところ、わたしがもっとも手軽な瞑想にうってつけだと考えているのはルミネだ。

 

ルミネが瞑想に最適な理由は各フロアのテンションが一定であることで、これが伊勢丹高島屋あたりになってしまうと、フロアごとに対象年齢や価格帯(お惣菜から宝飾品まで)が乱高下して、フロアを行き来するたびに余計な神経を使わなければならない。


また、リアルな街の場合、わたしのような方向音痴は常にGoogleマップ片手じゃないと、見知った街でも完全に迷いこむし、あまりぼんやりしていると車に轢かれたりするかもしれない。


そこへいくとルミネは、ターゲットも20〜30代女性と絞られていて、フロアごとにファッションのジャンルや構成はやや変わってくるものの、その振れ幅は世界の多様性のなかではほんのちっぽけな差なので、一定の精神状態を保ったまま、迷子や交通事故の懸念もなく、心ゆくまで徘徊(瞑想)することができる。


また、ルミネのなかでも新宿のルミネ2が、フロアの構成、広さ等の条件から、もっとも好ましい(とくに2F)。

 

ここでうっかり「昨日居酒屋で座敷に上がったら靴下に穴空いてたから買わなきゃ」みたいなことが頭のなかによぎってしまうと、即身仏の修行者にマクドナルドを差し出すくらい台無しなので、俗世の雑事になるべく関わりあいにならなくてすむよう、必要な買物は済ませてからルミネに向かうか、ルミネで買物を済ませてから瞑想に取り組むべきだろう。

 

本当の無音はあまりにも息苦しいけれど、ほどよい音楽(ルミネを訪れた人は誰もが耳にしているであろう、「テロテロ テロレーン」というBGMや各店舗が好き勝手に流す音楽がグチャグチャに混ざって、真面目に耳を傾けると吐きそうになるから強制的に聴覚の一部をオフにするしかない)も流れているし、お香の代わりにやたらと香水を振りかけた女の子がたくさん歩いている。

 

そうして、すべての感覚を7分咲き状態にしていると、だんだんすべてが薄ぼんやりとしてきて、ちょっとしたトランス状態に陥ることができる。


座禅やヨガと違って、なんの努力も経ていないゆえに、普段の心持ちが改まったりする気配は微塵もないけれど、少なくともその瞬間だけは心底解放されて、ルミネから出ると、なんということでしょう、完全なるBefore After状態の晴れ晴れとした心持ちに。

 

いつかあなたが、完全にうつろな眼差しでフロアを徘徊している女をルミネで見かけたとしたら、それはわたしや、わたしと同じ瞑想法を会得した誰かかもしれないので、どうか通報したりせず、あたたかい目で見守ってほしい。

ゆりしー

【チーム未完成の社会科見学】パンに「パン」って印刷してみた

チーム未完成のゆりしーです。

 

今回はひとつ趣向を変えまして。

「チーム未完成の社会科見学」と題して、とある企みのもと、某所へお邪魔した模様をレポートします。はーい。

 

今回チーム未完成が突撃したのは、渋谷にある印刷会社・株式会社 光伸(こうしん)プランニングさん。

 

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光伸プランニングさんは、屋外、交通広告や、サイン、ディスプレイ、ミュージアムグッズなどの企画・制作・施工をはじめ、ガラス、樹脂、金属、陶器、革、布地等、あらゆる素材や製品にプリントができるサービスD-Printや、外部クリエイターと共同で、これまたいろいろな素材(羽根や石などにも!)への印刷を行う自社プロジェクトMONOPURIなど、さまざまな取り組みを行っている企業です。

 

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ひろびろしたオフィス兼作業場。サチモスが流れてました。

  

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 カッティング前の『MONOPURI』のシート!

 

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THE 印刷会社な大判プリンターと大量のカッティングシート。

 

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光伸プランニング-『MONOPURI』

 

 

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今回、案内してくださったのは光伸プランニングの稲川由華さん。

印刷について無知にもほどがある未完成にもやさしい。

 

ところで、このたびチーム未完成がお邪魔させていただいたのは、こんな理由から。

 

 

本物のパンに「パン」って印刷したい!!!

(タイトルそのまんまですね)

 

 

チーム未完成は、常日頃なんとかのひとつ覚え的な具合でパンパン連呼しておりまして、いつも「パン」というロゴをあれやこれやしてグッズを作ったりしているのですが。

 

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これとか。

 

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こういうのとか。

 

今回はこの「パン」ロゴをリアルなパンに印刷してみちゃいたいという試みなのです。

 

日頃からありとあらゆる種類の素材に印刷しまくっている光伸プランニングさんも、パンへの印刷は初めてとのこと。

 

果たして本当にパンに印刷できるのでしょうか。

 

 

今回、パンへの印刷に使用するのは、光伸プランニングさんの『D-Print』や『MONOPURI』でも使用されている、UVインクジェットプリンター

 

通常は凹凸のある物に印刷したい場合、一度平たいシートに印刷してから物へ貼り付けるそうなのですが、UVインクジェットプリンターは直接その物自体に印刷できるすごいやつ。

 

紫外線で固まるインクが使われていて、インクを吹き付けたあとにUVライトで硬化させる仕組みとのことで、要するにジェルネイル的なことですね。

 

また、通常のインクジェットプリンターは印刷したい対象物にインクを染み込ませる方式なのだそうですが、このUVインクジェットプリンターは、吹き付けたインクを蓄積していく方式ということで、印刷見本を触るとデコボコしていることがわかります。

 

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いつもの未完成ブログと違ってタメになるよねー。

 

ということで、早速パンへの印刷をスタート。

  

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早速スタンバってるパン。

 

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印刷を担当していただいた、光伸プランニングの竹内さん with UVインクジェットプリンター

「パンはふかふかしてるから、インクを吸い込んじゃいそうで、きちんと発色するかちょっと心配です」とのこと。

 

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 今回の印刷のための指示書。

こんな感じのバランスでパンに印刷していきます。

多数のガチな印刷指示書を押しのけて、一時最前いただきました。

 

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さてさてついに!動き出すプリンター。

 

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パンが吸い込まれてゆく…。

 

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 みんな写真撮る。

 

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ピカッ

 

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 シャッ

 

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ピカッ…あれ、なんかうっすら ?

 

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うわあああ

 

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 光に包まれてパンが…

 

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出てきた!

 

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 パン!!!!!

 

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パンに「パン」!!!!!!!

 

パンに「パン」、できたーーーー!!!!!!

 

思った以上にパンに「パン」だったーーーー!!!!!!

 

 

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「まじかよ」

 

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恐る恐る触ってみるけど、インクは硬化してるから全然にじまない。

 

照射していたUVライトはめちゃくちゃ熱いそうなので、心なしかパンが焼けて固くなっているような気も…? 

 

とにかく印刷が綺麗!

(しをりん曰く「タトゥーみたいやね」)

 

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パンへのインクの染み込みを懸念して、右の一枚はラッカーをスプレーしてから試してみたけれど、ラッカーなしでも見事なパン。

 

チーム未完成がダンボールとマッキーばっかり制作に使っている間に、テクノロジーは進歩してた。

印刷技術すごい。

 

というわけで、パンに「パン」できました!

とくにオチとかなく、おしまいです。

無茶にお付き合いいただいた光伸プランニングさん、ありがとうございました!

 

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※おまけ

パン印刷の一部始終です。


【チーム未完成の社会科見学】パンに「パン」って印刷してみた

  

(テキスト:ゆりしー、写真:ぴっかぱいせん、Special Thanks:光伸プランニングさま)

 

*チーム未完成を社会科見学させてやってもよろしいという奇特な会社の方がいたらご連絡ください。

mikanseimikansei@gmail.com

 

苗字2

 

しをりです。


ちょっと聞いてちょうだい。

先日、ゆりしーがこんなブログを。


「苗字」
http://mikanseisei.hateblo.jp/entry/2017/04/17/233730

 

つまるところ
「いい年してゆりしーと自ら名乗るのがつらみ」
「なので、苗字があったらうれしみ」
ってことらしいです。


ちなみに、ゆりしーのことをゆりしーと呼びはじめたのは、他でもないわたしーです。
もちろん、ゆりしー以前の彼女には、人並みにスタンダードな名がありました。

 


あれは5、6年くらい前のこと、仲良くなりたての誰しもが直面するファーストクエスチョン「オレオマエなんて呼ぶか問題」

わたしは当時からアホの一つ覚えみたく「しをりんだよ〜☆」と自ら言っていたので、ゆりしーからは自然としをりんと呼ばれるようになりました。

では、なぜゆりしーゆりしーになったのか。


その頃、吉高由里子が好きだったわたしは
彼女のあだ名をサンプリング、
オマージュ、
引用、
いや、丸パクリしたのでした。


そう、吉高由里子さんのあだ名は他でもない
ゆりしー」なんですねえ。(イケハヤ風です)

 

好きな生き物には好きなものの名前を付けたくなるのが人の性ってもんです。
わたしは、いつか犬を飼ったら「とうふ」か「よよぎ」と名付けようと長年意気込んでおりますが、
豆腐にも代々木にも特にこれといった思い入れはありません。

 

ところで、かくゆうわたしもいい年こいた現在も
ワイがワイこそがしをりんやしをりんなんやと各地で言いまくっており、
最近はラジオをやらせて頂いてることもあって、割と偉いであろう大人の方とかにセイハローする機会も多いのですが、

どんだけ場の空気がアレな感じでも開き直って「しをりんです(ニヤニヤ)」と言ってみると大抵の場合ほんのり和むもので、

その後の会話もなんかいい感じになる気がするし、もし和まなくとも、ああ今日はそういう場か、この人はそういうタイプか・・・と、名を名乗るだけでなんとなく判断することができたり、

とりあえず、ああ変な女いたなあと印象づけられる便利アイテムになっております、しをりん。

 

なので、ゆりしーや。
胸を張って堂々と名乗ってごらんよ。ゆりしーと。


ゆりしー

ゆりしー

ゆりしー

ゆりしー?!
しっかりするんだ、ゆりしー
ゆりしー、お気を確かに!!!

 

まあ、ゆりしーと名付けたわたしとしては、ゆりしー本当はゆりしーって名前いやなのかな……とちょっぴりさみしい気持ちになったり、
そんな苦悩してるゆりしーの横で「しをりんだよ〜☆」と恥ずかしげもなく言いまくってるわたしマジヤバイ奴と思われてるのでは……といささか不安な気持ちになってます。

 

ん?

あれ、そうだ、ゆりしーは、そんな話はどうでもいいのだった。

聞く耳も、腕押しするためののれんさえもそもそも持ち合わせていらっしゃらなくて、
「しをりんや、苗字をおくれよ」とお願いされているんでしたね。

そっかそっか、そうでした。

 

じゃあ、苗字かんがえるね。

なにがいいかなあー。。。

 


ん〜。

 

 

ん〜〜〜。

 

 

んん〜〜〜〜〜〜〜〜〜。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「吉高」でどうですか?

 

 

 

 

(しをり)

苗字

わたしはチーム未完成にてゆりしーという名前で活動しているのですが、ここで一曲、最近のちょっとした悩みをお聞きください。


それは苗字がないということ。

 

チーム未完成として自己紹介をするとき、ほかのメンバーが「シー・イズ・ゆりしー」と紹介してくれる分には一向に構わないのだけど、そもそもからして「ゆりしー」という名前は、人が呼んでくれることで成立しているあだ名であって、15歳のハロプロメンバーとかじゃない妙齢の女性が自ら「コール・ミー・ゆりしー!セイ!」と名乗りあげるのはツラの皮がよほどの極厚じゃないとつらい。

 

とはいえ当然、どんなツラ下げてでも己からゆりしーと名乗らなければいけない場面というのは多々あって、そんなとき「ゆりしーです」の前に「(もともとそういうあだ名だったから特に深い考えもなく、かりそめの名としてゆりしーと定めたらなんだか意外と長くゆりしーと名乗り続けることになってしまっただけで、別に80年代のアイドルよろしく積極的に自分で自分をゆりしーって呼んでほしいとか、ゆりしーっていうあだ名が醸し出してる、ある種のかわいらしい感じに値するとか思って名乗ってるわけじゃなくて、便宜的にここではそう呼んでもらうしかないし、今は他人から紹介してもらう場面でもないので渋々自身で申しあげますが)ゆりしーです」と、心のなかでは長々しいカッコ書きの言いわけをかましたうえで名乗っているので、なんとかそのモノローグをテレパシーで感じとって、どうかわたしをずうずうしい女だと思わないでほしいという気持ちでいっぱいだ。

苗字さえあれば、たとえ下の名前がゆりしー寿限無だとしても「高橋(仮)です」と一発名乗っておけば、自分の自意識を守るためのくどくどしい言いわけを(脳内で)述べることは不要だし、苗字のあるしをりんはもちろん、苗字とか関係ない時限にあるぱいせんやみっちゃんの名前は本当にうらやましい。

 

もちろん、一市民としてわたしにも当然戸籍上の苗字はあって、ごちゃごちゃ言わんとその苗字をくっつけて名乗っておけばよろしいとおっしゃられても当然なんですが、わざわざ視界が狭く息苦しい面なぞかぶって、顔出しせず活動してるのに本名を名乗る不毛さといったらない。

 

そんな揺れる想い、体じゅう感じて。

 

ゆりしー